日本盤発売日:1975年12月21日
イギリス盤:1975年11月21日、アメリカ盤:1975年12月2日
イギリス盤初版:「A面:YAX 5063-2」「B面:YAX 5064-2」
ジャケットは米ELECTRAとほぼ同じデザイン。英国盤はジャケットと同様のカスタムデザインのレーベルが使われている。UK盤は日本盤に比べて重低音は有るが、低域が少なく、中音域が大きめ、高音域が減衰気味。なのでタム類の重低音はウーハーを揺らす程に響くが、ベースが小さめ、ギターとヴォーカルが前面に出ているが、ドラムの金物やタム類を叩いた時のザラつき感が感じられず、こもった感じ。クリス・ブレアがカッティングしたUK盤は中音域がうるさく私の好みでは無い(案の定、次作では米国カッティングに移行している。当時のアメリカはまだまだレコード先進国だった)。
巷でよく言われるのが「日本盤はUK盤に比べてピッチが遅い」というもの。確かに「2011年リマスターCD(EU盤)」との比較では明らかに「UKオリジナル盤(
[YAX 5053-2, Mother:1, Stamper:AR] [YAX 5064-2, Mother:4, Stamper:OO]
)」は「CD」よりもピッチが速い。
そもそも「UKオリジナル盤」には何かしらの問題点が多すぎた。日本製のレコードクリーナーでは全く綺麗な音を奏でられない。1960年代のUK盤よりも溝の「深さが浅い」のである。確かに盤の厚みや重さが関係しているのは明らかだ。
日本盤は、紺色帯、エンボス加工されたWジャケットorデラックスジャケット(ゲートフォールド)には艶有り(初版)と艶無し(後発版)がある。それぞれのジャケットはレイアウトの位置等が多少異なる。大貫憲章氏のライナーノーツ(「管楽器などをフィーチュアしてのボードビル調の作品(原文通り)」と早速ダマされている)、1976年の来日公演等の情報記載(後に日程変更有り)のクイーンシール、レコード保護用ビニール袋等。
ちなみに筆者は「帯」が嫌いだ。「オペラ座の夜」や「ビートルズ・ホワイトアルバム」などの様に、白いジャケットと帯の組み合わせだと帯以外の部分が焼けてしまい、変色してしまう場合がある。ジャケットの一部分を帯で隠してしまうのも個人的にはイヤだ。
以前は筆者も帯は別で保管していたが、保管方法も難しい。失くしてしまった帯も沢山ある。恐らく日本では長年、本の帯などで日本独特の「帯文化」が根付いてしまっているのだと思われるが、ちょっと何とかならないものかと、いつも考えてしまう。
「A NIGHT AT THE OPERA」というタイトルは、マルクス兄弟の同名サイレント映画の題名から引用したもの。クイーンとトライデント社との契約は楽曲の版権のみになり、ジョン・リードをマネジメントに迎えた事により、「年に1枚のアルバムを発表する」という契約に変わる。本盤は「シアー・ハート・アタック」から1年後の発表となっている。ただしレコーディングには約4ヶ月の期間を費やし、「Sarm
East Studios」「Roundhouse Studios」「Olympic Studios」「Rockfield Studios」「Scorpio
Studios」「Lansdowne Studios」等、計6ヵ所のスタジオでレコーディングが行われている。まだ4枚目のアルバムとは思えない重厚なアルバムに仕上がっており、英国でも1位を獲得したアルバムである。
このアルバムに針を下ろす度に思う事がある。「Death On Two Legs」という曲、フレディの、いや、メンバー4人の怒りや憎しみに満ちた強い思いが聴く側にまで伝わってきて、毎回発狂しそうな気分になるのだ。イントロに鳴り響くフレディのピアノ・アルペジオであったり、そこに左右を飛び交うブライアンのフット・フェイザーの奇妙な音であったり、不気味な響きを奏でるジョンの弓弾きウッドベースなどなどが混ざり合ったカオスな雰囲気がいきなり怖いのである。デビュー2年目のバンドのアルバムじゃない。
また、このアルバムにはクイーン・ライヴの定番曲になる物も多く、「God Save
The Queen」を除く11曲中、最も多い時で7曲(クイーンの全ライヴで数えれば9曲)も演奏されていた。このアルバムのメイキング系のTV番組やビデオが数多い事も興味深い。
「Bohemian Rhapsody」の「goodbye everybody〜」で左側チャンネルの音声がかすれる部分が、学生の頃からの筆者の不満だった。「日本版シングル盤」も「79年来日記念盤」どちらも同様だったので、上京したら「日本盤初版LPを買う!」と決めていた。が、購入しても同様の現象があり。そこで「UK盤LP・A
NIGHT AT THE OPERA」「UK盤シングル」を購入したのだが(当時の中古レコードショップでは、クイーン・アナログ中古盤・UK盤及び日本盤、どちらも現在より安価だった)、こちらも同様の現象が。なるほど「Sarm
East Studios」で2トラックテープにTDした時点で、この曲の1/2インチ・2トラックマスターはこの状態だったのか。後にCDでも確認して、やっと思い知ったという思い出がある。
が、今度は日本初版盤「オペラ座」の「You're My Best Friend」でマスターテープの不良ポイントが気になり始めた(これには2種類有る。詳細は下記にて)。
過去タイトル3枚の日本盤は、かなりコンプを掛けた音になっていた。例えば右側から大きめの音が入ると、センターに定位したパートが左側に寄ったりするものである。「オペラ座の夜」ではそれを是正する為なのか、プレス委託先を東芝以外の工場に依頼しているのだが、このプレス工場の特定が未だ出来ていない。
筆者は、「オペラ座の夜」は2つの会社でプレスされていたと見ており、しかもそれぞれの「レーベル面」には2種類ずつ存在する。それについては、下記のそれぞれの盤の項にて記す。
盤の見分け方は、「戦慄の王女」の項をご参照ください。
|