紫色の帯、大貫憲章氏のライナーノーツと各曲の英詞、レコードの保護用ビニール袋等。
日本盤ジャケットは米ELECTRA盤とほぼ同じデザイン(米国盤初版は、ジャケット表面の「QUEEN」のロゴ、裏面の白鳥のデザインを施した「シンボルロゴ」が金色で装飾されている)。
「米国盤」が「英国盤」とデザインが異なるのは契約等の問題が関連しているのか、何かは不明。日本盤は米国ELECTRA系(米国"Warner
Bros")が日本で盤を販売する権利を有していた為、色々な面で「米国盤」の特色と近い。音質に関しても「英国EMI盤」とは違いが有り「英国盤」はストレートな印象で「日本盤」に聴き慣れた筆者には違和感を感じたのだが、「米国盤」はコンプをガンガンに掛けた「ロックサウンド」になっており、「日本盤」は「米盤」と同等な印象を受ける。
米国盤には作曲者名の記述が無い為、「米ELECTRA」は「英EMI」からアルバムに関する詳細なデータを得ていなかったと推測する。その影響なのか「日本盤」の各曲の作曲者名は「All
songs written by Queen」と"曖昧な"表記に留まっている(筆者が15歳当時に購入した『クイーン詩集』で各曲の作曲者を初めて知った)。
「SMILE」のミニLP「ゲッティン・スマイル」を聴いた後にこの「戦慄の王女」を聴くと、二人のメンバーチェンジの大きさを感じる。フレディの書く曲はピアノ曲を中心に「SMILE」では決して描けなかったであろう壮大な世界に溢れ、まさしくフレディの本領発揮といった趣き。ジョンのベースもティム・スタッフェルのルート音を主体とした単純なベースラインでは無く、ジョンらしさを象徴するベースラインに溢れている。「The
Night Comes Down」のベースアレンジは特に素晴しい。逆に「Liar」の「ギターソロ・エンディング部」で聴けるベースソロの様なフレーズはメンバー(おそらくフレディ)の指示によるものと分かるものであり、ジョンらしさは感じられない。
スタジオでの作業も興味深い。「Keep Yourself Alive」のイントロなどは、ブライアンがギターを弾き始めてから慌ててレコーダーを回しているなど、偶然がベストテイクを生み出す良い例を示している様。「The
Night Comes Down」のブライアンの「Hallfredh」やロジャーの「カウベル」にディレイ・リヴァーブ(遅れてリヴァーブが掛かるエフェクト効果)などの音処理も素晴しく、ベースギターやドラムスの音の定位等も各曲で変えてあったり、何気に聴きどころが多い。
筆者所有の1stアルバム「QUEEN」のUK盤は「EMI PRESS盤」ではなく「PYE
PRESS盤」なので、UK盤「A NIGHT AT THE OPERA」で例えると「A面:YAX 5063-2、Mother:1、Stamper:AR」「B面:YAX
5064-2、Mother:4、Stamper:OO」であり、
これをワーナー・パイオニア盤の刻印で表現すると「A面:1-A-32」「B面:1-D-55」(「オペラ座UK盤」の枝番は両面とも「-2」が最も若いラッカー盤なので)となる。
プレスマークを見ると、1回目プレスが「1974年3月」であり、この盤は「1974年4月プレス」である事を示している。
数年前にアメリカのコレクターの方から「eBay」経由で譲って頂いた盤。ジャケも帯もライナーノーツも盤も素晴しい状態だった。筆者所有の「戦慄の王女」の中で最も音質が良く「Son
And Daughter」のシンセの様なブライアンのギターはまるで別世界から鳴っている様に聴こえる。しかも筆者所有の他の「戦慄の王女」より少しだけ盤が重く、レーベル面は最も色合いが濃い(ワーナー・パイオニア盤は、新たにプレスされる度にレーベルの色合いが明るくなる傾向がある)。
元になる「2ch 1/2インチマスターテープ」は、米エレクトラから送られてきたものと思われるが、A面のカッティングは1度しか行われていない為、全ての日本盤のA3「Great
King Rat」のエンディング近くで一瞬右側の音声が小さくなる。