クイーン・グレイテスト・ヒッツ
(QUEEN GREATEST HITS)


日本盤発売日:1981年11月21日
イギリス盤:1981年11月2日、アメリカ盤:1981年11月3日
イギリス盤初版:「A面:EMTV 30 A-1」「B面:EMTV 30 B-1」
UK盤・日本盤共に17曲収録。違いは「UK盤」には"BYCICLE RACE""SEVEN SEAS OF RHYE"が入っており、「日本盤」には前記の2曲は無く、"UNDER PRESSURE""TEO TORRIATTE"が収録された他、曲順も多少異なる。
US盤は14曲収録。カナダ盤・オーストラリア盤等も「ELECTRA」だが"TIE YOUR MOTHER DOWN"入りの15曲収録。

緑色帯、シングルジャケット、米ELECTRAとほぼ同じデザインを使用(収録曲は全く異なる。ジャケット、インナースリーブの文字等に誤りがある)。インナースリーブ、各曲の英詞と日本語訳詞等、アンケート葉書。


そもそもの企画が「クイーン・結成10周年」を記念するもので、レコード盤「QUEEN GREATEST HITS」の他にも「VHS・β・LD」等で発売された「QUEEN GREATEST FLIX」、写真集である「QUEEN'S GREATEST PIX」の3部作で構成されており、多角的にクイーン結成10周年を祝うものである(「クイーン・結成20周年」の際も同じ形がとられた)。「GREATEST FLIX」のビデオカセット類は「モノラル収録(当時はHiFi仕様では無かった)」でありながら非常に高価(定価:16000円)だった。これは当時のビデオ・マスターテープ(PAL、またはNTSC 3/4インチ・Uマチック)の最大値が60分だった事、NTSC変換等が煩雑だった事、テープ自体が非常に高価だった事、などが要因である(後に廉価版(Hi-Fi)ステレオ収録ビデオカセットを発売)。初版レーザー・ディスクはステレオ音声だが、片面30分の為、2面に分けて収録された(LDの原材料素材が安価であった為、定価も1万円以下であった)。


また、この年の11月24日25日の2日間、カナダ・モントリオールにて「全世界発売」という意味では初となるライヴビデオ用の映像を撮影している。当時は「WE WILL ROCK YOU」というタイトルであり、「4:3」の「スタンダードヴィジョン」でVHSやLDで発売された(このソフトには様々なヴァージョンが存在し「米盤LD」では右側にドラムとヴォーカル、左側にギターとベースというミックスがされていた)。90年代に日本で「4:3」の「スタンダードヴィジョン」でLDが発売された事もあったが「PAL→NTSC変換」の早回し版であった為、キーが幾分か高かった。2000年代に米国で新たにテレシネされたDVDが発売されており、2010年代にクイーンがフィルムの所有権を有した後にDVD・Blu-ray化された「QUEEN ROCK MONTREAL」が発売されたが、どちらも35mmフィルムの上下をトリミングしたワイド画面でテレシネされていた。「WE WILL ROCK YOU」とは異なり、「QUEEN ROCK MONTREAL」では新たな編集が行われ、ソフト化された(2020年11月28日には「NHK BSプレミアム」にて、初の「4K版」が放送された)。
あくまでも撮影を目的としたライヴであった為か、(ドラムの音漏れを考慮した為なのか、映像上の演出の為なのか不明だが)ロジャーのドラムセットのタム類の裏皮は外され、その中にマイクを突っ込む方法でレコーディングされた。当時は「エイトタム」という裏皮の無いタム類のパーカッションが流行っており、ドラマーの中には自ら敢えてそれを自身のドラムセットに組み込む事も流行っていた。音的には裏皮の振動を利用しない分「乾いた様なタムタム」の音表情である。
このビデオが語られる時、「フレディに残された命の時間は、もう10年を切っていた」などという記事を目にする度に、筆者は怒りの感情を抱いていた思い出がある。


前作「フラッシュ・ゴードン」に引き続き、今回も「東芝以外」の他社プレス。各国で収録曲が異なると言われているが、基本的には同じ。US盤は日本盤よりも収録曲が少ない為か、音質が非常に優れている。


発売当時、新曲1曲の為に2000円を払うか、新曲2曲の為に700円で済ますか、と友人二人で話題になった事を思い出す。「両方買わせるのがワーナー・パイオニアの狙い」というのが一致した意見だったが、友人はLP盤を、筆者はシングル盤を購入した(理由は「ベスト盤が好きではなかった為」。筆者は82年春頃にLP盤を購入した)。

とは言え、レコードではクイーン初のベスト盤。多くの音楽ファンが購入した。ビッグヒット盤では無いが、ロングセラー盤であった。現在もCDで最も売れているクイーンの盤である。

それぞれの盤の見分け方は、「戦慄の王女」の項をご参照ください。

P-6480E
前作「フラッシュ・ゴードン」に引き続き、東芝プレスでは無い。スピンドル穴周辺のリング径が約30mmであり、当方所有の「ポリドール盤」と作りが非常に似ている為「クイーン・グレイテスト・ヒッツ」は「日本ポリドールプレス」が初版であると推測している。プレスマークである「BA2L1P」の読み方であるが、初回プレスが1981年11月、2回目プレスが1982年1月、そしてこの盤が1982年2月という事になる。一番右端の「P」はポリドールの「P」。
プレス月 1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月
記号
アルファベットを用いたプレスマークは「1960年代の東芝盤」でも使われていた。記号に「I」が無いのは、プレス年の「1」との混同を避ける為(これも「1960年代・東芝盤」と同じである)。
「1-A-*」盤が存在した可能性が高いが、筆者は観た事が無い。

プレス年月:1982年2月
A面:2-A-21
B面:2-A-7
ジャケット印刷:Ic A
ジャケット・カタログNo:
P-6480E(背表紙)
ジャケット価格表記:¥2000
(背表紙)


P-6480E
遅くとも「1986年2月」以降は東芝プレスに変更されていたと思われる。レーベルのデザインが多少違うが、他は全く同じである。が、この「東芝盤」は異様に音質が悪い。まるで「擦り切れたレコード」の様な音をしている。中古で購入した盤という事も有るのかと思ったが、下記の項に記す「新帯盤」でも同様に「擦り切れた様な音」で再生されるので、盤質(塩化ビニールの質)が悪くなったのだろうと推測する。「17曲収録」という縛りが余計に音を悪くしている様に思う。
この盤である「東芝プレス」の「1-*-*」「2-*-*」盤だが、先に述べた「ポリドールプレス」との整合性は無く、東芝独自に「1-*-*」盤をカッティングしたものと推測する。

プレス年月:1986年5月
A面:1-A-4
B面:2-B-20
(両面共にTO刻印あり)
ジャケット印刷:Ic A
ジャケット・カタログNo:
P-6480E(背表紙)
ジャケット価格表記:¥2000
(背表紙)


P-6480
前項に記した盤から4ヶ月しか経っていない「86年9月」には「新帯」に切り替わっている事から、他のワーナー・パイオニア盤の「新帯盤」も86年中期には販売されていたものと推測している(プレスマーク「6-7」は緑帯盤だった可能性がある為)。この盤も異様に音質が悪い。「擦り切れたレコード」の様な音をしている。
クイーンは1984年の「ザ・ワークス」から「東芝EMI」でのリリースになったが、過去音源に関する販売権利は「ワーナー・パイオニア」が有していた。この「新帯盤」をもって「ワーナー・パイオニア」と完全に縁が切れる事となった。
この盤である「東芝プレス」の「1-*-*」「2-*-*」盤だが、初版盤「ポリドールプレス」との整合性は無く、東芝独自に「1-*-*」盤をカッティングしたものと推測する。

プレス年月:1986年9月
A面:1-A-6
B面:2-B-23 
(両面共にTO刻印あり)
ジャケット印刷:Ic A
ジャケット・カタログNo:P-6480E
(背表紙)(帯のみ「P-6480」)
ジャケット価格表記:¥2000
(背表紙)