LIVE KILLERS


クイーン初のライヴアルバム"QUEEN LIVE KILLERS"は、1979年のヨーロッパツアーから厳選した音源を使用し、
それを2枚組にまとめています。曲によってはキーが異なっていたり、編集も荒かったりしていますが、
この時期の最高のライヴが聴ける貴重なアルバムでもあります。
大体の場合、アーティストがライヴ盤を出す理由として、ブート盤を買わせない為、という事がありますが、
この頃は、ウォークマンやステレオラジカセの普及で、いわゆる"オーディエンス録り"が大流行な時期にあり、
あらゆるアーティストのブートライヴ盤が売られていた時期でもありました。

ジャケットに写っている「紙テープ」を観れば分かりますが、このジャケットは、日本武道館公演を、
長谷部 宏氏(Koh Hasebe)が撮影したもので、"God Save The Queen"が流れるライヴエンディングを、
華麗な照明と共に、メンバー4人を荘厳な雰囲気で捉えており、まさにベストショットな1枚です。

このジャケットを観て、不思議に思ったのが、ブライアンの姿でした。


まるで切り貼りした様な印象を受けるブライアンのシルエット・・・。
他の3人に比べて、体のラインがあまりにもシャープ過ぎて、とても違和感を持ったわけです。
この写真の撮影日はTV収録日と同じですが、この瞬間ブライアンは"John Birch Model"を持っており、"Red Special"は持っていなかった筈・・・。
恐らくですが、ブライアンの部分のみ別の日の"Red Special"を掲げた写真をアルバムジャケットに切り貼りしたのでは・・・、
とも考える事が出来ます(この瞬間だとTVでのブライアンは、ファンへお辞儀をしていた筈・・・)。

このライヴアルバムは、1979年1月下旬〜3月上旬に行われたヨーロッパツアーを収めた物ですが、
曲毎に公演場所が異なる、曲毎にキーが異なる、というだけでは無く、1曲の中で複数のコンサート会場で録られたものを編集していた、という事が知られています。
例えば「オープニング〜We Will Rock You(Fast Ver)」だけでも4ヶ所のライヴ音源が使用されており、文字通りの「切り貼り」が行われている事が判明しています。
まるでこのアルバムジャケットの「切り貼り」を象徴している様に思えてなりません。


このアルバムのジャケットを眺めて観ては、・・・やはり真の意味でのベストショット、真の意味でのベスト音源を得る事は難しいのかな、
そう感じてしまうのでした・・・。