キングコング対ゴジラ Blu-ray版 |
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以下に、今回の"Blu-ray盤"の特徴を記す。 1.Blu-ray版に併せて、新しくハイヴィジョン化する作業が行われた。 当然と言えば当然だが、過去の物が使い物になる訳がなく、新しく、ハイヴィジョン化する作業が行われた。今回のBlu-ray盤にあたり、少なくとも2種類のフィルムがハイヴィジョン化され、それを含めて少なくとも4種類のマテリアルが使われていると思われる。それは次の4種類。 1.2014年に発見された「“ロール1”以外の“カットネガ”」を、ハイヴィジョン化した物。 2.このソフトを支える上での基本となる「短縮版フィルム」を、ハイヴィジョン化した物。 3.米ユニヴァーサル社所有の「アメリカ版キングコング対ゴジラ・ハイヴィジョン」を使用した物。 4.従来の(DVD等に使用した)マスターを、HDにブローアップした物。 主に、この4種類を軸に、レストア等のリマスター作業が進められたと思われる。今回のブルーレイ化に当たり、全てのフィルムがハイヴィジョン化出来なかったのは本当に残念な事だ・・・。 2.オープニング 「創立30周年記念映画」の部分。DVDでは静止画を使用していたが、本ブルーレイ盤では“動画”(フィルム)として扱っている。 3.本編映像 「皆さん、地球は生きています〜」の部分は、いわゆる“ロール1のカットフィルム”にあたる。その為従来のスタンダードマスター(SD映像)をHDにブローアップした映像を使用している為か、“TV解説者”田武謙三さん登場のシーンなどは、映像がボケボケである。 「世界驚異シリーズ」のアニメーション部分は、オリジナルのカットネガが存在しないので、静止画を機械的にアニメーションにしてある。 今回、何より目を疑ったのは、米ユニヴァーサル社所有マスターを使用した映像である。“潜水艦シーホーク号の中”のシーンは、映像に奥行きをも感じさせる。このシーンには新たに日本語字幕が追加された(次の項を参照)。 今回のBlu-ray版は、ロール1のカットネガが見つからなかった為、“米ユニヴァーサルマスター”と“短縮版”の映像を編集して使用している箇所が多く存在し、違いが分かりやすいと思う。今回のブルーレイでの“ロール1のハイヴィジョン化”のキーポイントになっているとも言える。 残念なのは、若干の編集ミスがある点。記者が大貫博士にインタビューしているシーン(1:11:35辺り)に数コマのコマ落ちがある。 DVDではクロスフェイドしていた「ロール6」と「ロール7」の部分(1:23:33辺り)は、しっかりと別フィルムとして扱っているので、これは本当に素晴らしい。 4.潜水艦シーホーク号シーンの日本語字幕の字体が多少異なる。 「オリジナル復元版」と異なる部分がある。潜水艦シーホーク号内での日本語字幕が改められた。 (詳細は「完全復刻版」に記してあります)(TORI様、ご協力本当に有り難う御座います!) このシーンは米国ユニヴァーサル・マスターを元にしている為、日本語字幕が元から無く、また「完全復刻版LD・DVD版」よりオリジナルに近い字体にすべく、新たに作り直されたもの。
5.サウンドトラック 今回、モノラルサウンドトラックが収録された。2001年DVD化の際には「全長版の音声は磁気立体音響しか残存していない」という説明があったのだが、モノラル音源の全長版が見つかった事により収録された。1962年上映当時は殆どの映画館でモノラル上映だった筈なので、これは嬉しい事だ。 86年LD盤とこのBD盤のモノラル音声と比較して、BD盤には若干のノイズが多く感じられる。これは「86年LD盤」製作の際に新たにモノラル音声をリミックスし直した物が使われていたからだと推測される。 「4.0chパーフェクト・ステレオ・サウンド」において、一瞬(12:01〜12:02)、音声がモノラルになっている。マスタリングの際に不備が有ったのかも知れない。 6.オーディオコメンタリー DVD版と同一のコメンタリーが収録されている。ここは物足りなさを感じた・・・。新たに関係者の方のコメンタリー含め、2種類収録する事が出来なかったのかな、という思いになってしまったのである。 7.特典映像集 なんと、村瀬継蔵さんのインタビューが収録されている。これは非常に嬉しかった。「バラン」のDVDではとても為になる面白講座があった(笑)。 他に、今回のBlu-ray化でも予告編が収録された。特に思った点が「特報」である。「91年完全復刻版LD」収録の際の「特報」は、映像の一部に欠け落ちた部分が存在した。今回のBlu-rayでは、DVD化の時と同じ映像を使っていると思われ、映像が欠けている部分は、無理矢理に他の部分の映像の速度を変えて補っている・・・。出来る事なら「91年完全復刻版LD」収録の方がオリジナルに忠実で、印象も良いと思うのだが、商品という観点からすれば「いくら古いフィルムとはいえ、この様な不完全な物を提供するべきではない」と判断されての決断だったと思われる。 特典として「チャンピオンまつり版(短縮版)」がHD画質で収録された事は非常に嬉しい事だ。この「キングコング対ゴジラ」の史実を知る上でも貴重な物となると思うし、何より、これまでの「キングコング対ゴジラ」の全てのソフト化を支えてきた「ベース部分」と言える物であるので、これは是非、何度でも観るべき物だと私は思う。フィルムの光学トラックから直接収録されたと思われる音源の音質も、「激闘外伝LD−BOX」収録の同版より良い。 総評としては、「う〜ん・・・。。」といった感じ。ロール1のカットネガが無い状態でのハイヴィジョン2K作業は、担当スタッフの皆様の苦い思いを読み取れるから。 近い将来の「4K」や「8K」の頃には、保存状態の素晴らしい全ての「オリジナル全長版フィルム」が見つかる事を祈りたい。 (筆者記:2016年に「ロール1のカットネガ」が見つかり、全てのフィルムはハイヴィジョン化され、日本映画専門チャンネルで放送されました) |
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本商品の「映像」と「モノラル音声」を使用した全長版が、2015年12月26日「WOWOW」にて放送された。 |